佐々野寄の日記

数学、ソフトウェアまたはそのほか

マインドマップのアプリXMind

私が設計者として最も使っているツールはXMindです。

 

jp.xmind.net

 

マインドマップという手法は、会社の研修で知りました。

今では中学校の技術の教科書に載ってます。

トニー・プザンという言う人が提唱している方法です。

 

新版 ザ・マインドマップ(R)

新版 ザ・マインドマップ(R)

 

 

 

マインドマップを作るアプリはいくつかありますが、

FreeMindとXMindが有名です。私はXMindの方が好みです。

 

 

私がいつXMindを使っているか。

  • 頭を整理したいとき
  • 会議の議事をとるとき
  • 樹形図をかきたいとき
  • 仕様書の目次を考えるとき
  • 何を検討すべきか、分からなくなったとき
  • テストケースを考えるとき
  • 資格の勉強をしているとき
  • 知識を整理するとき
  • 人に何かを説明するとき
  • その日のToDoリストを作りとき
  • 思いついたメモをとるとき

本当にいつでも使っています。

ハッピーハッキングキーボード

ハッピーハッキングキーボード

Happy Hacking Keyborard

HHKB

 

 

もうかれこれ十数年。HHKBを触ってます。

 

 

 

実際に使っているのはこのモデルではありませんが、

私が使っているのは今は売っていないので。

 

ハッピーハッキングキーボード HHKB 

何がいいのか。

PCは消耗品で買い替えていくがキーボードは買い替えない

みたいな考え方もいいですし。

何が何でもタッチがいいです。これに慣れると、他のキーボードでは

打てなくなります。

一日で300行くらいのプログラム書くときとか、

もう手放せないです。

プログラマを意識した作りなのか、私には最適です。

細かいけど「いい」と思う点は以下です。

 

CtlがAの左

CapsLockというキーは何のためにあるんですか?

特に私はemacs使いなので、Ctlが下の方にあるのは困るんです。

HHKBを買う前は、CapsLockをCtlにするソフトとかを使って

やってましたけど、もうそんなものを使うことはありません。

同僚が驚く

同僚が来てキーボードを触ろうとしたときびっくりする。

Office系でCtlとAltを駆使する人が

ショートカットでかっこよく操作しようとしている

出鼻を挫くことができます。

無刻印だとがっつりびっくりするけど、普通のやつでも

うっすらとしか見えないので引かれます。

テンキーいらない

普通のキーボードの右側ってテンキーがあります。

いらないです。マウスに手を持っていくのも嫌なのに

テンキーなんか使わないでしょ?

テンキーだとブライドタッチできないから全くいらないです。

 

やっぱりタッチがいい

最近だとメカニカルキーボードの青軸とかに

浮気してしまうときもありますが、やっぱりHHKBに戻ります。

とにかく、やっぱりタッチがいいですから。

 

多分、町の電器屋さんにはないので、

周りに持っている人がいたら触らせてもらって下さい。

鉛筆シャープ

文房具みたいなものにこだわってしまう。

弘法大師はどんな筆でも達筆だったのかもしれないが

こだわれる道具にはこだわる。ちょっと大きい文房具店でなら

いつまでも滞在できます。

 

鉛筆シャープ

ここ5年くらいはこのシャーペンを使ってます。

 

 

 

デジタルな世の中になっても、どこでもすぐにぱっと書ける

紙とペンはそう簡単にはなくなりません。

 

どんなペン?

筆感は、軽いペンで、筆圧なくても書けます。

電車の中で何かメモするとき、筆圧をかけられないときでも

さらさら書けて、とても書きやすいペンです。

太さは、0.7 0.9 1.3と太めのラインナップが3種類。

種類も、スタンダード、フローズン、キャンディ、TypeS、TypeM、キッズ、

いろいろあります。

私は、キャンディーの0.7がお気に入りです。

お勧め

どんな人にもお勧めできます。

  • 外で書くことがある人。立って書けるペンです
  • 学生、特に受験生はいっぱい書いて疲れるので。
  • ブログの何かを思いついてメモをとるとき
  • 会社の会議で。発言をメモとってると発言者のことを重視している風です
  • ソフトウェアの設計作業で、マインドマップ
  • プログラミングしているとき。条件網羅できているかい?

使い方

私の使い方としては、

  • 20本くらい買う
  • 書きたいときに書けるようにばらまく
  • つまり、会社のデスクの上
  • バッグの中
  • 家の中の、自分の机、居間とか
  • に置いておく

シャーペンとしても安価な部類に入ります。

会社で「このペンめっちゃ書きやすいですね」と言われて

進呈したことが何度かあります。

 

一本200円くらいなので試してみてください。

 

三角関数加法定理(7) 蛇足的考察

三角関数を定義して加法定理を証明する。

 

これは高校数学でありながら深淵な数学をのぞかせてくれました。

 

(2)の教科書的方法はさておき、それ以外の方法を考察してみましょう。

 

(3)回転行列の方法

複素数を使う方法でも同じですが、循環論法になりそうな感じです。

線形性を前面に出して、循環論法を避けた証明です。

ここから線形代数の抽象的な考え方、線形性とか基底とかの

考え方が垣間見えます。

(4)Eulerの公式 (5)微分方程式

この二つの方法は、かなりよく知られています。

微分方程式の本とか複素解析の本とか探せば載っています。

 

実は、高校的な三角関数の定義は循環論法ではないか問題を抱えています。

 

問. 円周率を円周と直径の比で定義するとき円の面積は?

を答えることを考えましょう。どうやって解きますか?

 

ふつうは積分するでしょう。積分するには微分を考えないといけないです。

そうすると\lim_{h\to 0}\sin x / x$を求めないと、でもそのとき

円の面積を使うよね。あれ? 

円の面積の公式を求めるために円の面積の公式を使っている

これが循環論法だというのです。

 

この議論を回避する一つの方法として、冪級数三角関数を定義したり

微分方程式の解として三角関数を定義するのです。

 

ここからは、複素解析の世界が拓けます。

微分可能とか級数展開かのうとかいろいろが同値で

高木貞治先生が言う玲瓏なる境地が広がっています。

 

(6)関数方程式

ここから進むべき深淵な数学はありません。

 

でも、こういう定理を考えようとしたことが数学です。

加法定理①②に条件③④を加えなければなりませんが、

どういう条件なら成り立つか、

もっと弱い条件では?もっと強いイケてる条件は?

を考えた結果がこの③④なのです。

これこそが数学の定理だと思いませんか?

 

少しでも面白そうだと思ってもらえると幸甚です。

三角関数加法定理(6) 関数方程式

問題再掲です。

(1) 一般角$\theta$に対して$\sin\theta$, $\cos\theta$の定義を述べよ。
(2) (1)で述べた定義に基づき、一般角$\alpha$, $\beta$に対して
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha + \beta) &&= \sin\alpha\cos\beta + \cos\alpha\sin\beta \\
\cos(\alpha + \beta) &&= \cos\alpha\cos\beta - \sin\alpha\cos\beta
\end{eqnarray}

を証明せよ。

 

三角関数の加法定理の証明です。

前々回、前回で冪級数微分方程式による三角関数の定義を行いました。

もう単位円とかきれいに忘れた格好です。

 

では、最後にとっておきの方法です。

この方法は誰も思いつかないでしょう。

加法定理そのものを満たす関数を$\cos x, \sin x$と定義します。

 

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①②をみたす関数を定義とするわけなので(2)は明らかです。

 

なんか定義して示せ、と言われているのに、

示すべきものを満たすものっていう定義にするとか、

なんという狂気な解答!すごいでしょ!?

 

①②だけでは一意性は言えないので、③④を付け加えています。

イデアは①②③④から前回の微分方程式と初期値をみたすことを言って

微分方程式の解の存在と一意性に帰着するというものです。

③④は、私が考えた条件ですが、、、、

もっとイケてる条件があったら教えてください。

(自分的には不満です)

 

証明のアイデア

  • 初期値をみたすこと $c(0)=1, s(0)=0$
  • 微分方程式を満たすこと

を示していくということです。

 

微分方程式を満たすこと、つまり

微分係数を求めないといけません。

 

高校の教科書を思い出してみましょう。このために④は不可欠です。

あと、差積の公式を出す必要があります。そのためには、

$x-y$の式を出さないといけません、、

このために考えた条件が③です。

③はピュタゴラスの定理なので不自然ではありませんが、

なんだかイケてないと感じてしまいます。。

 

何はともあれ、アイデアは以上の通り。

証明は長いですが、難しいところはありません。

 

初期値

よくある関数方程式から初期値を求める感じで。

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$-x$の公式

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加法定理の差の公式

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差積の公式

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微分

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以上で、微分方程式の初期値問題の解の存在と一意性から

①②③④をみたす$c(x), s(x)$は存在し一意です。

三角関数加法定理(5) 微分方程式

問題再掲です。

(1) 一般角$\theta$に対して$\sin\theta$, $\cos\theta$の定義を述べよ。
(2) (1)で述べた定義に基づき、一般角$\alpha$, $\beta$に対して
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha + \beta) &&= \sin\alpha\cos\beta + \cos\alpha\sin\beta \\
\cos(\alpha + \beta) &&= \cos\alpha\cos\beta - \sin\alpha\cos\beta
\end{eqnarray}

を証明せよ。

 

三角関数の加法定理の証明です。

前回は冪級数による三角関数の定義を行いました。

次は微分方程式による定義です。

定数係数の線形常微分方程式の解は存在して一意であることを

利用して以下のような定義を行います。

 

定義

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もう三角関数の定義がどこから始まっても驚きませんよね? 

 

 

ここからTaylor展開を求めにいって、前回の結果に帰着してもいいけれども

せっかくなので、微分方程式の解の存在と一意性を存分に使いましょう。

 

イデアは、二つの関数が同じ微分方程式と初期値をみたすから同じ、

という論法です。

 

2つの関数を考える

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あとは、$A(x), B(x)$が同じ初期値をもって、

同じ微分方程式をみたすことを示すことです。

 

同じ初期値、同じ微分方程式を満たす

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これで、証明完成です。

三角関数加法定理(4) Eulerの公式を使う

問題再掲です。

(1) 一般角$\theta$に対して$\sin\theta$, $\cos\theta$の定義を述べよ。
(2) (1)で述べた定義に基づき、一般角$\alpha$, $\beta$に対して
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha + \beta) &&= \sin\alpha\cos\beta + \cos\alpha\sin\beta \\
\cos(\alpha + \beta) &&= \cos\alpha\cos\beta - \sin\alpha\cos\beta
\end{eqnarray}

を証明せよ。

 

 

三角関数の加法定理の証明です。

ここからは高校数学を逸脱します。でも、この辺りから楽しいです。

 

Euler(オイラー)の公式と指数法則を使うとすぐに証明できます。

 

Eulerの公式

$$e^{iz} = \cos z + i\sin z$$

 

指数法則

$$e^z e^w = e^{z+w}$$

 

 

Enlerの公式と指数法則を用いた証明

まずは、加法定理を示すところからやってみます。

 

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定義を変える 冪級数による三角関数の定義

さて、Eulerの公式と指数法則を証明しないと、という気になります。

(1)の解答、単位円周上の点の座標としたことを思い出しましょう。

単位円周上の点の座標を三角関数の定義からこれらを示すことって

できるんでしたっけ? 

 

ここで、三角関数の定義を元の「円周上の点の座標」から

「ある冪級数」として定義します。

 

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もともと三角関数は「斜辺分のなんとか」で定義していました。

(三角比と呼ばれていたやつです)

「斜辺分のなんとか」のときは、$0$から$\frac{\pi}{2}$までの範囲

までしか定義できませんでした。

そして$0$から$\frac{\pi}{2}$のとき、単位円の円周上

の座標が$(\cos\theta, \sin\theta)$であることを利用して、全実数に広げました。

 

定義 ⇒ 性質1

 

となったとき、性質1を定義にしてしまおう、ということです。

数学ではこのようなことをよくやります。

「特徴づけ」characterization, justificationと言ったりして

ある定義を特徴づける定理というのは文句なしに良い定理になります。

 

「斜辺分のなんとか」

⇒「単位円上の点の座標」

⇒「ある冪級数

に定義を拡大させることができました。

 

ここから、Eulerの公式と指数法則を示すことができます。

 

Eulerの公式の証明

 

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指数法則の証明

 

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これで証明が完了します。

 

入試問題でこの解答を書ける人はそういないと思いますが、

級数による定義

・Eulerの公式、指数法則の証明

・加法定理の証明

と書けば完全正解です。