ユニタリ表現入門
今年、年が明けてから、通勤時間を利用して、3か月くらいかけて読みました。
杉浦光夫先生のユニタリ表現入門です。私が読んだのは、上智大学数学講究録の
オレンジ色のノートみたいなものですが、内容は同じみたいです。
主に3部構成です。
0章-5章 表現論の基礎的なことと、コンパクト群トーラス、
SU(2), SO(3)の表現論です。
6章-11章 SU(1,1)の既約ユニタリ表現をmultiplierという概念から
統一的に構築しようという試みです。
この時点で「すごい、この本」となってました。
12章-17章 既約ユニタリ表現の分類です。
アイデアは、既約ユニタリ表現の分類は、行列係数というか球関数の分類
に帰着させるというもの。圧巻です。
予備知識としては、ほぼ1,2年生の微分積分と線形代数があればいい
と思います。ところどころ関数解析の知識が必要ですが、
知らなければいったんは保留して進みましょう。
すごいところ
なんとって言っても、杉浦先生の実際の功績を本にしてあることです。
0章-5章の導入もあまり他の本にない感じで始まりますし、とても
熱量が高い本だと言えます。
そして、本全体で繰り広げられる計算の嵐!!
普通の数学の本は、実際の計算は適当に省略したり
練習問題ぽくするのに、この本は細かい計算をとても丁寧に
書いてくれています。
私は電車の中でずっとこの計算をやってました。
いや、まだやり足りないくらいです。
この本の計算は、何度も何度もやると喜びが湧いてくるのです。