佐々野寄の日記

数学、ソフトウェアまたはそのほか

ユニタリ表現入門

 

今年、年が明けてから、通勤時間を利用して、3か月くらいかけて読みました。

杉浦光夫 ユニタリ表現入門

杉浦光夫 ユニタリ表現入門

  • 作者:杉浦 光夫
  • 発売日: 2018/05/25
  • メディア: 単行本
 

 

杉浦光夫先生のユニタリ表現入門です。私が読んだのは、上智大学数学講究録の

オレンジ色のノートみたいなものですが、内容は同じみたいです。

 

主に3部構成です。

0章-5章 表現論の基礎的なことと、コンパクト群トーラス、

SU(2), SO(3)の表現論です。

6章-11章 SU(1,1)の既約ユニタリ表現をmultiplierという概念から

統一的に構築しようという試みです。

この時点で「すごい、この本」となってました。

12章-17章 既約ユニタリ表現の分類です。

イデアは、既約ユニタリ表現の分類は、行列係数というか球関数の分類

に帰着させるというもの。圧巻です。

 

予備知識としては、ほぼ1,2年生の微分積分線形代数があればいい

と思います。ところどころ関数解析の知識が必要ですが、

知らなければいったんは保留して進みましょう。

 

すごいところ

なんとって言っても、杉浦先生の実際の功績を本にしてあることです。

0章-5章の導入もあまり他の本にない感じで始まりますし、とても

熱量が高い本だと言えます。

 

そして、本全体で繰り広げられる計算の嵐!!

 

普通の数学の本は、実際の計算は適当に省略したり

練習問題ぽくするのに、この本は細かい計算をとても丁寧に

書いてくれています。

私は電車の中でずっとこの計算をやってました。

いや、まだやり足りないくらいです。

この本の計算は、何度も何度もやると喜びが湧いてくるのです。