「力学の考え方」
私は数学の勉強はしましたが、物理学のことは
あまり真剣に学んでこなかったです。
ということで、物理を学びなおしてみます。
数学の本にも時折出てくる物理学の事象について
「ああ、あれね」
くらいになればいいと思って、
まずは軽い本を読み進めてみます。
運動方程式から始まり、万有引力の法則、エネルギー保存則、角運動量保存則
と、おそらく、普通の力学の教科書通りに進んでます。
最後に解析力学を持ってきて、ラグランジュ形式の理論があります。
おそらくこれが量子力学へのイントロになっていると思われます。
もう高校の物理学さえほぼ忘れているので新鮮でした。
そっか、運動方程式からエネルギー保存則を導くとか
なんかやってた気がするなぁ、くらいなんです。
こういう易しくて分かりやすい本があったことに感謝です。
12個のたまごと天秤の問題(7) 一般化の解答
今回で答えを得ます。
問題
(0+-)がN個あります。1個だけ(0)でなく、残りのN-1個は(0)です。
天秤をn回まで使って(0)でない1個を見つけることのできるNの最大数$a_n$は
何でしょう?
1回目の天秤の後、
(1) (0+)と(0-)がたくさんという状況
(2) (0+-)がたくさんと(0)がたくさんという状況
になります。
(1)を考えていって、次の定理を得ました。
定理
$N$個の(0+)または(0-)があり、1個は(0)でないとする。
$n$回の天秤で(0)でない1個を見つけることのできるNの最大数$b_n$は
$3^n$
である。
(2)を考えていって、次の定理を得ました。
定理
(0+-)が$N$個ある。1個だけ(0)でなく、残りのN-1個は(0)。
さらに(0)が1個以上ある。
天秤をn回まで使って(0)でない1個を見つけることのできるNの最大数$c_n$は
$(3^n + 1)/2$
である。
ここまで考えたたのでできます。
大体、前回の$c_n$を求めるのと同じような感じです。
左:xxxx 右xxxxx 残りxxxx
とするんですが、
まずは、
釣り合ったとき、残りに(0)でないのがあります。
この状況は$b_{n-1}$なので、残りの最大数は$b_{n-1}$
です。
天秤に載せる方は、左右を合わせて$3^{n-1}$以下です。
$3^{n-1}$が奇数なのでこのまま載せることはできません。
(0)がない状況なので、$3^{n-1}-1$を半分ずつ載せるのが最大です。
よって、
左:(0+-): $(3^{n-1}-1)/2$個、
右: (0+-): $(3^{n-1}-1)/2$個
残り $b_{n-1}=(3^{n-1}+1)/2$
とおけばよいことが分かります。
よって、
$a_n = (3^{n-1}-1) + (3^{n-1}+1)/2 = (3^n-1)/2$
です。
$a_n = (3^n-1)/2$
が答えです。
ここまで来て定理を得ることができました。
定理
(0+-)が$N$個ある。1個だけ(0)でなく、残りのN-1個は(0)。
天秤をn回まで使って(0)でない1個を見つけることのできるNの最大数$a_n$は
$(3^n - 1)/2$
である。
これで、結論を得ることができました。
最初に解こうとした$a_n$とは別に、$b_n$, $c_n$も求めることができました。
天秤の問題はいろいろバリエーションありますけど、
今回考えたことで、大概は解けるようになったかなと思います。
12個のたまごと天秤の問題(6)1回目釣り合うとき
天秤の問題、だんだん本質の近づいてきている感じがします。
まずは、問題再掲です。
問題
(0+-)がN個あります。1個だけ(0)でなく、残りのN-1個は(0)です。
天秤をn回まで使って(0)でない1個を見つけることのできるNの最大数$a_n$は
何でしょう?
1回目の天秤の後、
(1) (0+)と(0-)がたくさんという状況
(2) (0+-)がたくさんと(0)がたくさんという状況
になります。
(1)を考えていって、次の定理を得ました。
定理
$N$個の(0+)または(0-)があり、1個は(0)でないとする。
$n$回の天秤で(0)でない1個を見つけることのできるNの最大数$b_n$は
$3^n$
である。
じゃぁ、次は
(2)の(0+-)たくさんと(0)がある状況
を考えていきます。
(2)の問題
(0+-)が$N$個あります。1個だけ(0)でなく、残りのN-1個は(0)です。
さらに(0)が1個以上あります。
天秤をn回まで使って(0)でない1個を見つけることのできるNの最大数$c_n$は
何でしょう?
$n=2$を考えるところで、$c_1=2$を示しましたが、
もう一回ちゃんと書いてみましょう。
(0)が1個あるという状況です。
2個の(0+-)のとき
以下のように判別できます。
左 (0+-) 右 (0) 残り(0+-)
傾いたら左が、釣り合ったら残りが(0)でないです。
ここから1個増やすことはできるか?
残りを2個にすると、つりあったときに2個残ります。
なので、残りは1個でないとだめです。
天秤に載せるのを増やすとどうなるか。どちらに載せても
傾いたときに2個の(0+-)が残ってしまいます。
ということで3個の(0+-)は1回では判別できません。
したがって、
$c_1=2$
が分かりました。
漸化式の導出
これから$c_n$に関する漸化式を作ります。
左:xxxx 右xxxxx 残りxxxx
とするんですが、
まずは、
釣り合ったとき、残りに(0)でないのがあります。
この状況は$c_{n-1}$なので、残りの最大数は$c_{n-1}$
です。
天秤に載せる方は、左右を合わせて$3^{n-1}$以下です。
$3^{n-1}$が奇数なのでこのまま載せることはできません。
(0)がない状況では、$3^{n-1}-1$を半分ずつ載せるのが最大です。
いまは(0)が1個あるので1個足して、天秤に載せます。
左:(0+-): $(3^{n-1}+1)/2$個、 右: (0+-): $(3^{n-1}-1)/2$個、(0)1個
とすると、傾いたときに、$3^{n-1}$の(0+)、(0-)が出てきてそれが最大です。
よって、
左:(0+-): $(3^{n-1}+1)/2$個、
右: (0+-): $(3^{n-1}-1)/2$個、(0)1個
残り $b_{n-1}$
とおけばよいことが分かります。
したがって、
$c_n = 3^{n-1} + c_{n-1}$
これを解いて、
$c_n = (3^n + 1)/2$
です。
これで、もう一個定理ができました。
定理
(0+-)が$N$個ある。1個だけ(0)でなく、残りのN-1個は(0)。
さらに(0)が1個以上ある。
天秤をn回まで使って(0)でない1個を見つけることのできるNの最大数$c_n$は
$(3^n + 1)/2$
である。
12個のたまごと天秤の問題(5) 1回目釣り合わないとき
12個のたまごの問題を考えてきました。
今回は、
(0+)と(0-)が合計N個あるとき$n$回の天秤で判別できる$N$の
最大個数を求めていきます。
1回の天秤では?
(0+)または(0-)が3個、1個だけ(0)でないのがあるとき
1回で判別可能です。
ここは、丁寧に見ていきましょう。3個だけなので全部書きましょう。
(0+)が3個のとき
左 (0+) 右 (0+) 残り (0+)
傾いたら重い方、釣り合ったら残り
(0+)が2個、(0-)が1個のとき
左 (0+) 右(0+) 残り(0-)
傾いたら重い方、釣り合ったら残り
(0+)が1個、(0-)が2個のとき
左 (0-) 右(0-) 残り(0+)
傾いたら軽い方、釣り合ったら残り
(0-)が3個のとき
左 (0-) 右 (0-) 残り (0-)
傾いたら軽い方、釣り合ったら残り
じゃぁ、文章にしておきます。
補題
$3$個の(0+)または(0-)があり、1個は(0)でないとき
1回の天秤で判別可能である。
これを一般化してみましょう。
補題
$3^n$個の(0+)または(0-)があり、1個は(0)でないとする。
$n$回の天秤で(0)でない1個をみつけることができる。
数学的帰納法で証明していきます。
さっき$n=1$のときは示したので、
$n=k$のとき正しいとして、$n=k+1$のときを考えます。
(0+)が$2\dot 3^k$以上のとき
左 (0+): $3^k$個 右 (0+): $3^k$個
と載せればよいです。
傾いたら、重い方が(0+): $3^k$個で他が(0)になるので
数学的帰納法を使えます。
釣り合ったときは、残りの$3^k$個に(0)でないのがあるので
数学的帰納法が使えます。
(0-)が$2\dot 3^k$以上のとき
左 (0-): $3^k$個 右 (0-): $3^k$個
と載せればよいです。
傾いたら、軽い方が(0-): $3^k$個で他が(0)になるので
数学的帰納法を使えます。
釣り合ったときは、残りの$3^k$個に(0)でないのがあるので
数学的帰納法が使えます。
(0+)も(0-)も$2\dot 3^k$より少ないとき
このとき、(0+)も(0-)も$3^k$個以上あります。
(0+)の個数を$p$個、(0-)の個数を$m$個とします。
左 (0+):$p-3^k$個、(0-):$m-3^k$個 右(0+):$p-3^k$個、(0-):$m-3^k$個
とします。
傾いたら重い方の$p-3^k$個と軽い方の$m-3^k$個で合計$3^k$個の
中に(0)でないのがあるので、数学的帰納法が使えます
釣り合ったときは、残りの$3^k$個に(0)でないのがあるので
数学的帰納法が使えます。
これで証明終わりです。
天秤$n$回で最大$3^n$個までしか判別できないことを思い出すと、
以下の定理が導かれます。
定理
$N$個の(0+)または(0-)があり、1個は(0)でないとする。
$n$回の天秤で(0)でない1個を見つけることのできるNの最大数$b_n$は
$3^n$である。
12個のたまごと天秤の問題(4) 問題の一般化
12個のたまごと天秤の問題4回目です。
今までの復習をしておきましょう。
12個のときの解法を見て、新しい記号を導入して、
12個の解法を新しい記号で書き直しました。
ここから、一般化していきます。
どう一般化するの?と思う人も多いでしょうけど、
まずは、3回でできるのは12個が最大ですか?
というような問から始めます。
実は13個でも3回でできます。14個では3回ではどう転んでも無理です。
最大の個数を求めていくという問題設定を行います。
問題
(0+-)がN個あります。1個だけ(0)でなく、残りのN-1個は(0)です。
天秤をn回まで使って(0)でない1個を見つけることのできるNの最大数$a_n$は
何でしょう?
前回までに示したことは$a_3 \ge 12$です。
$n=2$のとき
$n=2$のときのことをまず考えてみましょう。
つまり
2回の天秤で何個判別できるか?
という話です。
1回目に$k$個ずつ載せるとしましょう。
傾いたとき、(0+)が$k$個、(0-)が$k$個出てきます。
あと$1$回で判定するには、この$2k$個が$3$個以下でなくてはなりません。
$2k \le 3$
だから、なので$k=1$が最大個数になります。
つりあったときは、残りに(0)でないのがあります。
残りが1個のときはそれが(0)でないです。
2個のときは、1回目で(0)と確定した1個と残りの一個で測ればよいです。
左 (0+-) 右(0) 残り (0)(0+-)が1個ずつ
傾いたら左、釣り合ったら残りの(0+-)が(0)でないです。
1回目で釣り合ったときの残りが3個のときは、
あと1回で判別することはどうやってもできません。
したがって、
$a_2=4$
が分かりました。
この$n=2$のときの思考がいろいろなことを示唆します。
まずは、1回の天秤の操作は、3個の情報しか得られないという事実です。
天秤と最大数について
無造作に天秤という言葉を使ってきましたが
天秤というものの性質をちゃんと考えておきましょう。
天秤というのは、1回の操作で、3通りの情報しか出せません。
「つりあっている」
「右に傾く」
「左に傾く」
です。だから、1回の操作で判別できるのは3個までです。
そして、
$n$回の操作で判別できるのは$3^n$が最大
言い方を変えると
$n$回の操作で判別できるのはどう頑張っても$3^n$以下
です。
最初の考察
まず、1回目の天秤を載せる前、(0+-)がたくさんあります。
釣り合ったときは、(0+-)がたくさんという状況はあまり変わりません。
ですが、釣り合わなかったときは、(0+)と(0-)がたくさんに変わります。
それ以降は(0+)と(0-)がたくさんという状況です。
(1) (0+)と(0-)がたくさんという状況
(2) (0+-)がたくさんと(0)がたくさんという状況
の二つの状況があることを認識しましょう。
次回からは、(1)の
(0+)と(0-)が合計N個あるとき$n$回の天秤で判別できる$N$の
最大個数を求めていきましょう。
12個のたまごと天秤の問題(3) 新しい記号で12個の解答
てんびんの問題の続きです。
前回導入した記号で問題と解答を書いていきます。
まずは記号を思い出しましょう。
0 : 正常の可能性がある
+ : 重い可能性がある
- : 軽い可能性がある
でした。
たとえば、(0+)と書いたら、
正常の可能性と重い可能性があって軽い可能性はない
です。
書かなかったらその可能性なし
を忘れないようにしていきます。
問題(記号で書き換え)
(0+-)が12個あります。1個だけ(0)でなく、残りの11個は(0)です。
てんびんを3回使って(0)でない1個を見つけでください。
解答(記号で書き換え)
1回目の天秤では、(0+-)を4個ずつ載せます。
釣り合った場合と釣り合わなかった場合の場合分けです。
1. 1回目で釣り合った場合
ここで分かったことは、
(0+-): 4個、(0): 8個
です。
2回目は、
左 (0+-)(0+-) 右 (0+-)(0) 残り (0+-): 1個 、(0): 7個
(1a)2回目でつりあった場合
残りの(0+-)が(+-)となって(0)でないです。
(1b)2回目で左に傾いた場合
左は(0+)になり、右は(0-)になります。
(0+): 2個、(0-):1個、(0):9個
という状態です。
3回目は、
左 (0+) 右 (0+) 残り (0-): 1個、(0): 9個
傾いたら重い方が(+)でつりあったら残りの(0-)が(-)です。
(1c)2回目で右に傾いた場合
左は(0-)になり、右は(0+)になります。
(0-): 2個、(0+): 1個、(0):9個
という状態です。
3回目は、
左 (0-) 右 (0-) 残り (0+): 1個、(0): 9個
傾いたら軽い方が(-)でつりあったら残りの(0+)が(+)です。
2.1回目で釣り合わない場合
ここで分かったことは、
(0+): 4個、(0-): 4個、(0):4個
です。
2回目は、
左 (0+)(0+)(0-) 右 (0+)(0+)(0-) 残り (0-): 2個 、(0): 4個
(2a)2回目で釣り合った場合
(0-): 2個、(0):10個
になりました。
3回目は、
左 (0-) 右(0-) 残り (0):10個
軽い方が(-)です。
(2b)2回目で傾いた場合
右に傾いても左に傾いても、
(0+)(0+)(0-) (0):9個
3回目は、
左 (0+) 右(0+) 残り (0-)、(0):9個
傾いたら重い方が(+)、釣り合ったら残りの(0-)が(-)になります。
この記号を導入したことによって
かなり考えやすくなったかと思います。