佐々野寄の日記

数学、ソフトウェアまたはそのほか

三角関数加法定理(5) 微分方程式

問題再掲です。

(1) 一般角$\theta$に対して$\sin\theta$, $\cos\theta$の定義を述べよ。
(2) (1)で述べた定義に基づき、一般角$\alpha$, $\beta$に対して
\begin{eqnarray}
\sin(\alpha + \beta) &&= \sin\alpha\cos\beta + \cos\alpha\sin\beta \\
\cos(\alpha + \beta) &&= \cos\alpha\cos\beta - \sin\alpha\cos\beta
\end{eqnarray}

を証明せよ。

 

三角関数の加法定理の証明です。

前回は冪級数による三角関数の定義を行いました。

次は微分方程式による定義です。

定数係数の線形常微分方程式の解は存在して一意であることを

利用して以下のような定義を行います。

 

定義

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もう三角関数の定義がどこから始まっても驚きませんよね? 

 

 

ここからTaylor展開を求めにいって、前回の結果に帰着してもいいけれども

せっかくなので、微分方程式の解の存在と一意性を存分に使いましょう。

 

イデアは、二つの関数が同じ微分方程式と初期値をみたすから同じ、

という論法です。

 

2つの関数を考える

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あとは、$A(x), B(x)$が同じ初期値をもって、

同じ微分方程式をみたすことを示すことです。

 

同じ初期値、同じ微分方程式を満たす

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これで、証明完成です。